昨日は打ち合わせで渋谷にいった。
今後の稽古も考えて、渋谷までの定期券を買った。
まるで働いているようだ、と、思ったが、
働きはじめたのであった。実際。
お相手は北里洋平君2●才。
数字を伏せたのはただ年齢を忘れただけだけれども
すでに一冊、まったくゼロからのスタートで
企画本を出している、かなりアグレッシブなやんちゃっ子。
出版社というかなんでも屋というか
曖昧かつ うやむや的にはじまった
勢いだけはある小さな会社は
どこへ向かうのやら。
いや本を出すのだけれども。
それはそれとして。
金銭感覚が僕とは違う彼は、
ちょっと夕飯に、と、
吉野屋でもすき屋でもなく、
小粋な料亭風居酒屋へ。
「花柳」という名前がすでに
敷居が高い。
ビールは、たのんでもないのにエビス。
お通しには殻付サザエが!
庄屋で三百円のお通しに
文句をつけてる場合じゃないぞ、と。
そしてそのサザエの下には、
ふんわりとした白いものが。
大根おろしのような
メレンゲのような。
不思議だなあとおもいつつ、
殻から出したサザエの身が
ぷりぷりとしていることに
目を輝かせながら、
その白いものをたっぷりと
貧乏根性が成せるわざで
それはもうこんもりと。
盛った、盛った、盛った。
口にいれた瞬間、後悔。
それはしっとりとした、お塩。
一辺が2センチの立方体、
サイコロよりちょい大きな、
その塩の固まりは口の中で
はんなりととろけた。
吐き出そうとしたその瞬間、
女将が笑顔で次の料理を持ってきた。
店に入った時、女将に、
「髪が長いので女の子かと思いましたー」
と言われ「キリスト様みたいって言われます(笑)」
と答えたこの口で、
塩まみれの半壊状態のサザエを吐き出すわけにはいかない。
キリスト様はそんなことしない。絶対。
ビールで飲み込む。
ビールが、海水の味になった。
ちょっと新しい飲み物だ。
炭酸海水水。
そんなもの誰が買うのか。
のたうちまわること約10秒。
とにかく他のもので埋め合わせること30分。
ようやくおさまったが、
胃はどうにもどんよりしていた。
次の日の朝、
なんでこんなに喉が渇くんだろうと思って
その理由をついさっきまで思い出せなかった僕は
三歩歩くと全てを忘れる鶏よりも始末が悪い。
いや、鶏も塩は飲まない。