よもやま

電気屋とは時につぶれるものだがだからと言って投げ売りはしないのだ。

近所に電気屋がある。

ヤマダ電機を小さくしたくらいの、
そこそこ大手の電気屋である。

ポイント制ではないので高額な買物は
全くしないが、
細かいものは本当にお世話になった。

インクが切れたらトレーナーで行き
台本を刷っていて紙が足りなくなれば
パジャマの上からトレーナーを着て。

歩いて十秒で電気屋、という便利さは
コンビニがある、という便利さにはかなわないが、
サプライズがある。

たまにあるセールや
粗品をくれるイベントを
取りこぼすことなくチェック出来る。

なにより、
僕の生活の中でふとなくなるものが
大概電気屋にはあるのだ。

そんな電気屋が潰れるということで、
すこし悲しくなりながらも
最終セール!と華々しく書かれた看板にひかれ
台本用の紙を買いに行くと
とくに変らず人も少なく、
ワゴンセールもやるにはやっていたが、
底値を簡単に調べられる今の世の中、
適正価格は大体分かっている。

悲しいかな、
最後の最後でも、そんなに安くなかった。

あわよくばビデオカメラ、
買っちゃおうかな、という
ぼんやりとした妄想も、
現実の値札の前にあっさりとかき消され、
結局紙だけ買って帰った。

最後だからか満員御礼のマッサージ椅子コーナーや
結局一度も欲しいものがなかった激安コーナーや
いつか値がつくとおもっているのか
さまざまな芸能人の実物大立て看板が隅においてあるのを
横目に見ながら、

やっぱコンビニになるといいなあ、と。
むしろ99ショップがいいなあ、と、
しごく現実的におもいながら、
まだ少し寒い夕暮れに首をすくめたのだった。

http://www.toca.jp/days/post_10.html
甲斐博和
2008.03.08